涙のさらなる秘密:スッキリ感・涙の性質・赤ちゃんの涙

涙のさらなる秘密:泣くとスッキリする理由とは?

私たちは悲しいときや感動したとき、嬉しいときなどに涙を流しますが、「泣いたあと、なぜか気持ちがスッキリする」という経験、ありませんか?この現象には、実は科学的な背景があります。

1. 泣くとスッキリするのはなぜ?

感情による涙(感情性涙)には、ストレスを感じたときに分泌されるホルモンが含まれているという研究があります。たとえば、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)のような成分が涙とともに体外へ排出されることで、ストレスが和らぐ可能性が指摘されています。

さらに、涙を流す行為自体が、副交感神経を優位にする(リラックス状態を促す)ことも報告されています。そのため、泣いた後に呼吸が落ち着き、脈拍が下がり、「気持ちが軽くなった」と感じるのです。

2. 涙のpHはどのくらい?

涙のpH(酸性・アルカリ性を示す指標)は、おおよそ7.0〜7.4で、弱アルカリ性〜中性です。これは血液のpH(約7.35〜7.45)に近い値であり、目の表面にとってちょうどよいバランスが保たれています。

ちなみに、泣いたときの涙のpHは感情によってわずかに変化するともいわれており、ストレスを伴う涙はやや酸性寄りになる可能性があるという研究も存在します。

3. 赤ちゃんはなぜ最初は「涙を流さない」の?

生まれたばかりの赤ちゃんは、よく泣きますが、最初は涙を流していないことをご存じでしょうか?

これは、涙腺(るいせん)がまだ十分に発達していないためです。赤ちゃんの涙腺は、生後数週間〜数か月かけて徐々に機能し始め、ようやく「涙を伴った泣き」が見られるようになります。

そのため、新生児が泣いていても目がうるんでいない場合は、正常な発達段階のひとつと考えられます。

涙はまだまだ奥が深い!

涙は単なる感情の象徴ではなく、私たちの心と体のバランスを保つ重要な仕組みでもあります。感情の解放、化学的な成分変化、そして発達の過程までもが関わる、まさに「生きる」ための機能なのです。

泣くことは、弱さではなく、自分を守るための自然な反応。これからは堂々と涙を流してみてもいいかもしれません。